『シンクロナス・マネジメント』-利益を生み出す21世紀の製造

表紙:『シンクロナス・マネジメント』-利益を生み出す21世紀の製造

M.L.スリカンス/M.M.アンブル著 小林英三訳
PDF版 定価:3,000円 (税込)

シンクロナス・マネジメントは一つの常識ですが、ありふれた工場を、世界で競争できる企業に組織的に変換する科学的なアプローチです。

シンクロナス・マネジメントの考え方は、ドーナッツ・ショップからシリコン・ウエハを生産している数億ドルの売上を持つ工場まで、考えられるあらゆる形の産業で、成功裏に展開されました。

著者たちは、シンクロナス・マネジメントを使って素晴らしい成功を収めた、たくさんの会社の皆さんと一緒に働く機会を持つことができました。・・・・・

追加書籍情報

著者の書いた「はしがき」

 21世紀が近づくにつれ、製造業が生産している製品の市場は、ますます、世界市場化し、激しい競争市場になっています。この環境では、ままさに顧客は王様です。その結果、製造業で働くマネージャの方々は、ますます多様な製品を、よりよい品質で、かつ、つねに前よりも低廉に、いっそう早く市場に供給する必要性に直面しています。競争性を維持し続けるためには、製造業者は、ますますその生産性を高め、競争相手よりも早く顧客ニーズにこたえなければなりません。

 このような厳しい環境の中にあって、米国、および外国のたくさんの企業が素晴らしい進歩を成し遂げました。しかし、これらの成功の多くは、大な努力を払った結果で得られたものです。しかし、これらの会社が行った、いろいろな改善プログラムと努力の大きさを考えると、現実に得られた成果は想像よりもかなり低いものです。これは、もちろん、改善プログラムのほとんどが、その意図はよかったものの、現実には、期待したほどの成果を生み出していないからです。現在、多くのマネージャの皆さんは、もはや、失敗をすることは許されないと考えています。したがって、今後、これから行う改善のための努力は、素早く行え、そして大きな結果を生むものでなければなりません。

 シンクロナス・マネジメントは一つの常識ですが、ありふれた工場を、世界で競争できる企業に組織的に変換する科学的なアプローチです。シンクロナス・マネジメントの考え方は、ドーナッツ・ショップからシリコン・ウエハを生産している数億ドルの売上を持つ工場まで、考えられるあらゆる形の産業で、成功裏に展開されました。著者たちは、シンクロナス・マネジメントを使って素晴らしい成功を収めた、たくさんの会社の皆さんと一緒に働く機会を持つことができました。これらの成功例のすべてで、成果は、はっきりと分かれた2つのフーズで生まれています。第一のフェーズは、シンクロナス・マネジメントを導入した初期の期間で、そこでは、生産の手順と業績評価尺度を、その会社の全体目標を達成することに目的に組み直したことで、大きな成果が実現されています。このフェーズは、「既存の資源とプロセスから最大のものを生み出す時期」と表現できるものだと思います。この当初のフェースに、「止まることのない継続的な改善のフェーズ」が続きますが、そこでは、組織的なやり方で、物理的、および、方針的な制約が識別され、それらに対する対策がとられてゆくフェーズであり、これにより、業績をいよいよ高いレベルに押し上げるフェースです。これらの成功例で、共通してみられる最も喜ばしい意実は、実現できたすばらしい成果自体も、それはそれで印象的ですが、むしろ、それらの成果の大きさではなく、それぞれの期間、そして、すべての期間で、シンクロナス・マネジメントの考え方を導入し、展開したすべての企業が、継続的に業績を改善を実現できたということです!

 下記は、The Spectrum Management Groupの顧客である3つの会社が成し遂げた結果の要約です。これらの3つの会社は、性格の大きく異なった産業に属していますが、すべて、シンクロナス・マネジメントを導入し、展開した会社です。

航空宇宙産業

 1990年の秋、航空宇宙産業、および、電力会社向けの高品質の鍛造製品を生産しているある主要製造業者は、2つの大きな問題に直面していました。その一つは、経済情勢が悪化した結果、販売数量が落ちていたことです。その二つは、主要な顧客が、より効果的な生産管理システムを採用する過程で、より高い信頼性で、より信頼できる製品納期を要求し、同時に、一層厳しい原価管理を要求してきたことです。鍛造業界では、その長い歴史の中で、生産業務の行い方が確立されており、それを長い間、当然のこととして、受け入れていましたが、この基本的な業務の行い方を全面的に変更する強い圧力を受けることになりました。

 この会社のマネジメント・チームは、シンクロナス・マネジメントのアプローチの中に、自社の製造業務を、劇的に少ないん在庫で行う方法を見出しました。こうして、1991年4月、顧客の求めるますます厳しいサービス要求に応えるため、同社は、シンクロナス・マネジメントによる改善キャンペーンを開始しました。この過程の中で、彼らは、何十年もの間、会社全体を通して、日々の意思決定をガイドしてきた伝統的な業務運営の大前提にチャレンジしました。

 2年の間に、この会社は、組織全体を通して、下記のことを達成しました。

  • 製造リードタイムを45%短縮
  • 在庫を48%削減
  • スクラップと手直しを31%削減
  • 納期遵守割合を44%改善

また、5年間の継続的改善の結果、下記のことを達成しました。

  • 製造リードタイムを76%短縮
  • 仕掛品在庫を51%削減
  • 最終製品在庫を48%削減
  • スクラップと手直しを54%削減
  • 納期遅れオーダーを、さらに43%削減

家具製造業

 1993年の初頭、ノースカロライナ州に本拠を持ち、高級食堂セットや寝室家具を製造しているあるメーカーは、収益性の維持に大変苦労していました。長い歴史を持ち、品質とサービスに定評のある同社でしたが、この会社の顧客への納期のリードタイムや納期の信頼性は、急速に変化している顧客の期待を満たせなくなっていました。他の競争相手のメーカーが2カ月のうちに製品を納入できるのに対して、この会社は、納品までに3カ月から4カ月の時間がかかり、消費者と販売業者は、競争相手よりも長い同社の納品までの待ち時間をもはや待ってくれないようになりました。

 改善のツールを求めて大がかりな文献調査を行った結果、この会社の上級製造担当役員は「ザ・ゴール」1という本をマネジメント・チームに紹介しました。マネジャーたちは、この本に書かれている考え方が単純であることに最も惹かれました。彼らは、この本の中に、どうしたら生産プロセスの中を通過する原材料のフローのスピードを増加させ、製品の引渡し業績を改善できるかについての方法を見つけました。

 1993年9月、同社は、シンクロナス・マネジメント概念に基づき、プロセスのリエンジニアリングを開始しました。シンクロナス・マネジメント概念により、同社の運用業績は改善され、同社を動かす方法も根本的に変更されました。同社は組織変更を行い、管理構造の中に、製品フローを担当するチームを導入して、生産のスピードを速め、製品の引渡しの信頼性を高める目的で、業績測定の評価尺度システムを変更しました。この過程の中で、同社は、最終製品在庫をたくさん抱える見込み生産方式から、受注生産方式に移行しました。

 12ヶ月後、同社は下記のことを達成しました。

  • 椅子とテーブルの顧客リードタイムを71%短縮
  • 食器戸棚類の顧客リードタイムを57%短縮
  • 納期遅れオーダーを90%削減
  • 在庫を60%削減
  • 最終製品在庫を48%削減
  • スクラップと手直しを54%削減
  • 注文を70%増加
  • 新製品の開発期間を75%短縮

自動車関連産業

 1980年代の中頃、130年の歴史を持ち、ニューイングランドに本拠を置く精密ベアリングのあるメーカーは、主要取引先の自動車メーカーから、納期遵守業績を全体的に改善し、製品の品質を向上させ、価格を低減するように強く求められていました。同社は納入先の業務サイクルの改善に歩調を合わせ、かつ、顧客の急速に変化する要求を満たすのに懸命でした。同社は、製造業務を行う方法を根本的に変更できない場合、マーケットシェアを失う可能性に直面していました。

 スピードを上げ、信頼性を向上させ、かつ、納入価格を引き下げるという、明らかに相互に衝突する要求に直面し、同社はシンクロナス・マネジメントの初期の導入会社の一つになりました。同社がこれを導入したのは、「シンクロナス・マネジメントの考え方」が納得できるものであったからです。しかし、同社の組織にとって、シンクロナス・マネジメントの導入は、国内に7つの工場を持ち、100年の長い伝統に基づき確立されている標準業務手順で運営されている同社にとって、大きなチャレンジでした。1986年、当初のパイロット・プログラムの成功に励まされ、同社は、シンクロナス・マネジメントの考え方を全社的な制度の中に取り入れるように設計された改善プロセスの展開を始め、製造業務を行う考え方を根本的に変更しました。

 10年が経過し、シンクロナス・マネジメントの考え方は、組織全体を通して、標準的な方針、手順、および、システムに完全に組み込まれました。シンクロナス・マネジメントは、大きな利益を継続的にもたらす継続的改善の動きに整合するフレームワークを提供します。今日、同社は10年前の同社と比較し、完全に異なった組織に変身しています。これはシンクロナス・マネジメントのコンテクストの中で実行された大小の組織的に行われた変化の結果です。これらの変化の累積的な影響は、まさに目を見張るべきものです。

 今日までに、同社は下記のことを達成しました。

  • 製造サイクルタイムを90%削減(3ヶ月以上から7日以下になった)
  • 原材料と最終製品在庫を90%削減
  • 納期遵守業績を95%以上に向上

 この10年の間に売上は50%以上も増大し、年間10億ドル以上となりました。

どうしてシンクロナス・マネジメント?

 どの産業界のどの企業組織も、今日、対処しなければならないことを二つ持っています。それらは以下の二つです。

  1. 市場は、世界的な広がりを持ち、かつ、そこでの競争は非常に激しいものです。このことにより、企業組織は顧客への反応、および、所有資産の生産性の両方で、最大の業績を達成しなければならない。
  2. 製品、および、サービスの生産と、それらの顧客への引渡しには、複数の機能に関係する複数の資源間の相互依存的な活動の管理をしなければならない。

 今日の買い手市場環境では、伝統的な管理手法によるアプローチがうまく機能しないことは驚くにあたりません。伝統的な管理手法の焦点は「売り手市場での標準品の効率的な生産に焦点を合わせたもの」です。また、伝統的な考え方では、組織全体としての最適性は、組織の中の各段階や要素の「部分最適を達成する」ことで得られるという前提に立つものでした。(過去では非常に成功した)伝統的なアプローチの目標としたもの、および、その方法論は、現在の経営環境では通用しません。

 最大の業績を達成するためには、企業は、基本的に健全なビジネス原理と実際的なツールにサポートされた効果的な戦略を必要とします。世界のどこで活動している企業でも、成功している企業は、それらが意図されたものであるかないかを問わず、共通点を持っています。それは、本書の全体を通じて説明されているシンクロナス・マネジメントの原理に準拠していることです。シンクロナス・マネジメントは、ある組織の持つ資源と実行する活動を、相互に依存関係にあるネットワークの要素と考え、それらを、組織全体の現在、および、未来の業績を最適化するように管理する経営哲学と表現できます。

 本書に記されているシンクロナス・マネジメントによるアプローチは、最高の組織業績を達成するためのフレームワークを提供します。このフレームワークは二つの重要な要素を持っています。

  1. 既存の手持資産と資源を最も有効に利用することを通じ、体系的に現在の収益を最大にする技法
  2. 戦略的に継続的改善の動きに焦点を合わせ、それを展開する体系的なプロセス

 シンクロナス・マネジメントの基本原理は、「企業組織は、組織の業績ケイパビリティを制限する要素を認識し、管理しなければならない」という、単純ですが、しかし、非常に強力な概念に基礎を置いています。これらの制限要素が組織の制約です。今日の非常に激しい競争市場では、企業は最高の業績を実現しなければなりません。非常に簡単に言えば、組織の制約を理解し、管理することなく、組織の実現できる最高の業績を実現することはできません。制約の概念と、それらを適切に管理することの必要性は、比喩的にいえば、重力が地球上の物体に作用するのと同じ位に明確であり、企業は、地球上の物体がそれから逃れることができないのと同様に、このことから逃れられません。

 今日、企業内の業務をプロセスを基に組替える傾向がありますが、制約管理のテクニックが製造業以外の分野に適用できることは明らかです。業務プロセスは、定義的に、ある「特定の結果」を達成するために使用される「特定のインプット」を持つ、相互に依存した一連のタスクからなっています。相互に依存した一連のタスクを、(個々のタスクや部門目標ではなく)組織全体を対象にして、早いスピードで、高い品質を保持しつつ、かつ、費用の有効性を維持するように管理することが、制約を中心に置いた(シンクロナス)技法の中核を形成しています。

 要約すると、今日の市場で生き残るには、業績を最適化することが不可欠であり、業績の最適化を達成するには制約管理が不可欠です。

本書について

 本書は、シンクロナス・マネジメントの考え方を網羅的に解説する、下記の二巻からなるセットの第1巻です。

  • 第1巻. シンクロナス・マネジメント: 21世紀における利益ベースの製造
  • 第2巻. 導入の際の問題点とケーススタディ

 この二冊からなるセットは、1990年に著者たちの手により発刊され、大変な好評をうけたSynchronous Manufacturing: Principles For World-Class Excellence1が、諸概念の急速な進化により、内容的にカバーしていない空白部分を持ってしまったため、その空白部分を埋めるために書いたものです。この1990年発行の本の中に記されている考え方は、依然として正しいものです。しかし、このたび発刊する2冊からなる新しい本には、これらに追加し、新しい内容も入れてあります。これら2冊の本の内容の60%以上は新しいものです。前の版の中で、本書に再録された部分も改訂され、書き直されており、また、今日の製造環境で、シンクロナス・マネジメントを導入する場合を支援できるように、多くの実例を追加しました。

 私たちの最初の本”Synchronous Manufacturing: Principles For World-Class Excellence”は、産業界、および、大学の教室の双方で、大変、好評でした。たくさんの企業がこの本を多数購入し、企業内での訓練プログラムの一部として使いました。さらに、多数の大学では、この本を生産管理とエンジニアリングのコースでの教材として採用しました。通常、この本は必読の書として指定され、特に「ザ・ゴール」も使っているクラスではそうでした。

 Synchronous Manufacturingは、「ザ・ゴール」で紹介された、急速に進化しつつあるシンクロナス・マニュファクチャリングの原理を完全に説明した最初の包括的な本です。この本を基礎として、この2冊からなる新しい「シンクロナス・マネジメント」は、複雑な製造業務を実行する組織を適切に管理するのに必要となる主要な要素について解説しています。

今回、これらの新しい本を出版するにあたり、意図的に書名を、従来の”Synchronous Manufacturing”から“Synchronous Management”に変更しました。その理由は、”Synchronous Manufacturing”という書名により、書かれている内容が製造現場の活動のみに適用できる内容であると誤解されてしまうからです。企業が成功するには、組織内のすべての機能が、共通の計画に従って、一つのチームとして協働することが必要です。したがって、この2冊の本の内容も、おのずと製造機能に関する部分が多くなっていますが、当然、シンクロナス・マネジメントの原理を製造業務を行う企業が有する製造機能以外のすべての機能や業務活動にもどのように適用するかについても触れる必要があるからです。

 第1巻では、まず、シンクロナス・マネジメントの基本的な概念を説明します。また、この巻には、多様な機能分野に関係するたくさんの実例も入っています。第2巻では、シンクロナス・マネジメントの原理を複雑な製造環境に適用する事例を説明し、導入時の重要問題を確認し、いくつかのケーススタディを使って基本概念を例示します。

 この2冊の本を読むことにより、実務家の読者は、所属する企業の収益性を決定してしまう主要問題をよりよく理解できるようになります。さらに、実務家の皆さんは、自分たちの組織に対する、よくまとめられた、成功にいたる計画を作成するために必要な「業務運用方針や手順の設計」を行えるようになるはずです。

 また、学生の読者は、この本は読むことにより、製造業務管理における基本的な問題点を完全に理解できるようになります。また、学生の読者のみなさんは、企業における主要なシステムを分析し、改善するための確立されている組織的な方法についても学ぶことができるでしょう。

本書の構成

 本書の目的は、シンクロナス・マネジメントの新しい重要な考え方を示し、そして、特に、製造活動を行う組織でのワークフローの管理に、これらの考え方をどのように適用するかを示すことです。本書は、以下の事項をカバーしています。

  1. 伝統的な製造管理実務の重大な欠点を指摘する
  2. 製造業務を管理するのに必要な基本原理を示す
  3. 製造会社において制約資源が果たす重要な役割について考える
  4. 組立ライン、JIT、および、MRP II の基礎となっている論理システムを調べる
  5. シンクロナス・マネジメントの考え方と整合する普遍的に適用可能な論理システムを展開する
  6. 組織業績を改善するための機会を識別し、それらに優先順位を付けするためのフレームワークとプロセスを説明する

 第1章では、歴史的に見て真の意味での最初のシンクロナス型、JIT型の生産施設であったヘンリーフォードのフォードソン工場についてみます。米国の製造業者の経験した競争上の問題は、ヘンリーフォードの教訓を忘れ、陳腐化した自己制限的な管理システムを使った結果でした。競争優位性を獲得することと、リーンな、換言すると、シンクロナスな生産者であるということの間には、直接的な相関関係があることは明らかです。

 ものを製造するという環境の中で、意思決定を評価し、業績を測定するために使われた伝統的な原価ベースの手順は、しばしば、よく機能しません。これは部分的には適切な情報の欠如によるものですが、根本的には機能障害的な行動(dysfunctional behavior)を引き起こしてしまう業績尺度によるものです。

 第2章では、原価システムの誤りを明確に指摘し、例示します。この議論の中では、伝統的な原価システムだけでなく、活動基準原価計算のような新しいシステムについても議論します。

 第3章では、ある程度詳しく、業績測定尺度とその評価システムについて議論します。ここでは、製造業務に携わる企業での意志決定と業績を評価するための、強力で証明済の業務尺度についても議論します。
 多くの企業で使われている伝統的な製造管理実務は、再考されるべき原理に基づいたものです。

 第4章では、製造業務を行う環境を特徴付ける従属性と変動性のおよぼす破壊的なインパクトについて調べます。

 第5章では、ボトルネックである資源とボトルネックではない資源の区別について考えます。ボトルネックである資源とボトルネックではない資源の間の重要な相違点をよく理解することにより、製造業務の管理に関する新しい1組の原理を展開できます。これらの新しい原理を適用することにより、製造業務を行う組織を、一層、効果的に管理できるようになります。
どのような事業であれ、制約が業績の限界を決定します。

 第6章では、制約に関する最も重要な問題点に焦点を合わせ、どんな組織にも存在する、いろいろな種類の制約を確認し、分析します。

 第7章では、論理システムの進化について説明します。ここでは、まず、三つの広く使われている論理システム-組立ライン、MRP II システム、JITシステム-を分析します。これらの各々の論理システムの強味と弱点を確認し、その基礎となる原理をシンクロナス・マネジメントの基本原理と比較対照します。

 第8章、第9章では、ドラム・バッファ・ロープ(DBR)として知られるシンクロナス・マネジメントの論理システムを説明します。この論理システムは、シンクロナス・マネジメントの考え方が要求するすべてを満足し、あらゆるタイプの製造環境の下で普遍的に適用できます。ドラム・バッファ・ロープの論理システムは、マーケット需要に対応する最終製品を生産することを目的に、工場内に入り、工場内を流れる原材料のフローを注意深くコントロールします。同時に、在庫、および、業務費用を最小に抑えます。この論理システムによるアプローチで重要なのは、システム全体としての物理的制約、方針的制約、市場の持つ制約のすべてを確認することです。これらの制約を基に、工場内の資源のすべてを計画し、スケジュールし、コントロールします。こうして得られるシンクロナス・マネジメントに基づくシステムでは、混乱を最小にしてしつつ、原材料はスムーズに、そして、継続的に工場内を早いスピードで流れることができます。

 第10章では、ミニ・ケーススタディを使います。このケーススタディでは、ドラム・バッファ・ロープの論理システムを、実際的な状況に適用する場合の例を示します。そして、特に、複雑な組織にドラム・バッファ・ロープの論理システムを適用する場合によく見られる、計画作成、コントロールに関連する重要点について説明します。

 第11章では、業績を改善するためのシステマティックなアプローチを展開し、詳細に例示します。この章で説明名する継続的改善のプロセスは、制約を基礎としたものです。このプロセスにより、改善機会のすべてを、ランダム、かつ、無関係に取り上げるのではなく、これらを有機的に相互に組合せ、調整された方法で利用できるようになります。また、この章には、シンクロナス・マネジメントのアプローチを使い、よく出くわす機能に関連する意思決定の質を向上するのに有用な、たくさんの例を入れてあります。