書籍・キット
パラダイムシフトTOCの普及を支援するエム・ストーン インターナショナル(MSI)が出版する本
制約管理(TOC)についてのノート
小林英三著 ラッセル社発行
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制約理論は、いろいろな文献を読みあさらないと、全体像が見えてこないといわれています。
著者は、この一年、著者が興味にひかれて読んだ何冊かの本や雑誌、英和の論文やノート、それに、制約理論に関するAPICSのメーリングリストを通じて得た情報などをできるだけ体系的にまとめ、自分のノートとしてためていました。
ラッセル社からのお勧めを受け、それではということで、これらのノートを素材に、まだ、制約理論をご存知ない読者に提供しようということで本書を著しました。
したがって、内容的に、完全、かつ、網羅的であるとは思いませんが、制約理論についての本があまり邦訳されていない状況の中で、日本語で書かれている制約理論についての情報を追加しようというのがこの本の意図です。
その目的に、わずかでも役立つことができればこれに越す幸いはありません。
なお、本書では、「クリティカル・チェーン」については触れていません。
これについては、すでに、稲垣公夫氏の『TOC クリティカル・チェーン革命−画期的なプロジェクト期間短縮法』(JMAM発行)という日本語文献があり、そこにクリティカル・チェーンのわかりやすい解説がありますので、興味のある読者は、ご一読されてはいかがでしょうか。・・・・・
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[追加書籍情報]
著者の書いた「はしがき」
最近、あるアメリカ人からもらったメールに次のようなくだりがありました。
「仮に、大野耐一博士と彼の同僚がトヨタでゴールドラット方式を採用していたら、最大でも、トヨタが実際に使った時間の1/4でもっとよい結果を得ていただろうと思うよ。アメリカの主要産業のためを考えると、大野耐一博士が、ゴールドラットのアイディアを使ってトヨタを改善しなくて本当によかったと思っているんだ。なぜって、そうなったらアメリカとヨーロッパの産業が受けた打撃は、もっと厳しかったはずで、国際経済が新しい均衡を回復するまでに、たくさんの企業がつぶれてしまっていたと思っているからね」と書かれていました。要は、制約理論(TOC、CM、あるいは制約管理)は、JITに比較し、1/4の時間で、さらによい結果を実現できる生産システムだといっているのです。ところが、制約理論は、日本ではほとんど知られていません。
一方、アメリカ、および、少なくとも英語圏では、1980年代の終わりから、生産現場への制約理論の導入が進み、この理論の持つ先進的、かつ、現実的で常識にかなった理屈が実際の状況の中で適用され、大きな成果を挙げており、たくさんのサクセス・ストーリーが生まれているようです。
著者は、この分野の門外漢ではありますが、コックス/スペンサーの『制約管理ハンドブック』という本を翻訳し、昨年11月にラッセル社から出版したのには、そのような背景がありました。
このたび、同じラッセル社から、コックス/スペンサーの本に限らず、せっかく読んだTOC関連書籍の中に書かれていることなどを紹介する本を書いてはどうかという勧めがありました。制約理論は、いろいろな文献を読みあさらないと、全体像が見えてこないといわれています。著者は、この一年、著者が興味にひかれて読んだ何冊かの本や雑誌、英和の論文やノート、それに、制約理論に関するAPICSのメーリングリストを通じて得た情報などをできるだけ体系的にまとめ、自分のノートとしてためていました。ラッセル社からのお勧めを受け、それではということで、これらのノートを素材に、まだ、制約理論をご存知ない読者に提供しようということで本書を著しました。したがって、内容的に、完全、かつ、網羅的であるとは思いませんが、制約理論についての本があまり邦訳されていない状況の中で、日本語で書かれている制約理論についての情報を追加しようというのがこの本の意図です。その目的に、わずかでも役立つことができればこれに越す幸いはありません。なお、本書では、「クリティカル・チェーン」については触れていません。これについては、すでに、稲垣公夫氏の『TOC クリティカル・チェーン革命−画期的なプロジェクト期間短縮法』(JMAM発行)という日本語文献があり、そこにクリティカル・チェーンのわかりやすい解説がありますので、興味のある読者は、ご一読されてはいかがでしょうか。
本書の構成は五部からなっており、第一部では制約理論、制約管理がどのようなものかの概略を説明します。第二部では、制約理論を構成する三つの分枝、すなわち、業績システム分枝、ロジスティックス分枝、問題解決/思考プロセス分枝のそれぞれについて説明します。第三部では、まず、制約理論から見た、既存の業績評価尺度のベースとなっている伝統的な原価計算システムと生産工学(IE)がなぜいけないのかを数値例を使い説明し、次いで、TOCと、既存の生産システムであるMRP IIとJITとの違いを説明し、最後に、最近、TOC信奉者が、会計学で主張され、推進されている活動基準原価(ABC)をどのように見ており、ABCが意思決定になぜ使えないかを説明します。第四部は、どのような考え方をし、どのような点に留意して、TOCを導入、展開したらよいかについて述べ、第五部でまとめを行います。
今回、本書を書くにあたり、いろいろな文献を参考にさせていただきました。それらは、参考文献として巻末にまとめてありますが、ここで、読者の皆様に、ぜひとも、読まれるようにお勧めしたい本があります。それは、千住鎮雄先生、伏見多美雄先生共著の『経済性工学の基礎』(JMAM発行)です。副題は「意思決定のための経済性分析」です。おそらく、多くの読者が、すでにこの本を読まれていると思います。著者も、何十年も前に本書の旧版を読み、現役時代は、配属されてくる新人に買って与えていた本です。昔、著者が購入したのは、おそらく、1969年の『新版・経済性工学』だと思いますが、現在のかたちになったと考えられる『初版・経済性工学の基礎』は第17刷、『新版・経済性工学の基礎』は第6刷、それに著者が購入した古い版もたくさん売れていたようですから、とてつもなく息の長い名著です。本書には、制約理論の中心概念の一つであるスループット・レートによる最適製品ミックスについての意思決定がそのまま記述されています。(同書45−46ページ)。こうして、お二人のご本がこれほどまでに売れているということは、狭くいえばスループット会計、広くいえば制約理論的なプラクティスを実行している企業が、かなり存在するのではないかと感じました。なぜなら、スループット会計の考え方のエッセンスは、お二人のいう「可変要素に注目して意思決定を行うこと」に尽きるからです。ご一読なさってはいかがでしょうか。
ということで、本書の内容は、現役時代の経験、線形計画法の適用で得た知識、仕事を通じての経済性の判断、ものごとの考え方、それに、某ERPパッケージの方法論やリファレンス・モデルの日本語化を行った経験に、コックス/スペンサーの『制約管理ハンドブック』を翻訳して得た知識、APICSのTOCのメーリングリストCMSIGを通じて得た情報、目学問、耳学問などにより得たTOCについての知識をオーバーレイしたもので、TOCを実際に現場で展開した経験に基づいたものではありません。したがって、本書に書いた制約理論についての著者の理解が、偏向したものでないことを願ってやみません。また、著者の実力不足、また、この分野の門外漢なので、間違った記述をしている部分がないかと不安でもあり、不具合、不適切な部分についてはご叱正いただきたいと思います。
日本での制約理論の展開は、まだ、これからのようです。普及に熱心なのは、村上悟氏を中心にした日本能率協会マネジメントセンターです。同センターは、多数の「TOC生産革新支援プログラム」を推進しております。また、稲垣公夫氏を中心に、NECはTOCの導入に熱心のようで、同社は、稲垣氏が文筆などによりTOCを日本に紹介されるだけでなく、日本での数少ないTOC導入の先駆的企業のようで、山梨日本電気大月工場の事例は有名です。また、富士通東北エレクトニスク(FTE)社も、TOCを導入されていると仄聞しています。
日本能率協会マネジメントセンターの村上悟氏は「おそらく本邦におけるTOCは、今後、QCやIEがたどった発展の道を歩むと思います」と述べておられます。著者も、制約理論が日本で普及し、バブル崩壊以後の日本産業が、かってのような繁栄と自信を、一日も早く取り戻すことを願ってやみません。
2000年4月16日
著者
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